ニッポン・天気晴朗なれど波高し

2018GWに「アゴラ」に投稿・掲載されました。せっかくだから時事ネタ系ブログでも始めようかと。立ち位置は右というよりは左です。

社会保障の<見える化>「まず基礎年金2分の1の税方式化を検討せよ」(一橋大/高山教授)

日本の社会保障について。やはり一番の問題は制度が複雑すぎて、分かりづらいことでしょうか。

                   

たとえば年金関連。日本の年金が賦課方式で「自分の払ったお金が自分に還ってくる訳ではない」を理解している人って、どのくらいいるのでしょうかねぇ。有権者の半分以下のような気もします。こんな状態で国民全体で年金問題を考えようと言っても、ムリでしょ。

 

さらに、日本の年金がそもそも積立方式ではじまって、途中で賦課方式に変質したのを知っているのは一割以下かな。

 

これは自分たち国民が不勉強なこともありますし、国が啓蒙しないこともあるし、ただ制度がやはり複雑すぎる気もする訳です。

 

かなり以前に読んだ興味深いテキストを紹介。「まず基礎年金2分の1の税方式化を検討せよ」(2008年6月/一橋大学教授 高山憲之)これって、かなり示唆に富んでいると思います。

 

基礎年金の国庫負担が1/3から1/2にあがってから、もう大分経つ訳ですが、上記論はかつて民主党が言っていた、基礎年金の全額税式方式/全員支給の変型といいますか、基礎年金(現在満額・月約6.5万位か)の半分を全員に支給する考え。その根拠は国庫負担(主財源は消費税)が1/2だから。きわめてシンプル、明快です。

 

現状はどうなっているか。前提として基礎年金は社会保険費だけでは賄えないので、国庫負担(主財源は消費税)を総支給額の1/2投入している。それで、基礎年金の受給資格は払い込み期間が25年だったのが、最近10年になったのかな。ともかく受給資格に達していない人はもらえない訳です。

 

たとえば九年六か月分だけ基礎年金を払った人は、年金は一円ももらえない。これは百歩譲って良しとして、その人は自分がもらえない年金の国庫負担分を消費税において負担している訳です。

 

これはどう考えてもオカシイ。受給と負担の関係から言っても異常。日本は再分配後に所得格差が拡がるというデータもあるらしいですが、こういうヘンテコな制度設計があるからの気がします。

 

1/2の国庫負担が主に消費税からおこなわれている以上、現実の基礎年金の半分は税式方式なんですよね、既に。それを国庫負担1/3ならまだしも、1/2税金いれといて<社会保険方式>って言うのは・・・ちょっとねえ、信じ難い。こういう仕組みが、日本の社会保障をより分かりづらくしているのでは。

 

だから、基礎年金の満額の1/2を支給年齢に達した人に払えばよいと思うのですが。不足する財源は多分、数兆円でしょ、何十兆円とかではないはずです。年金積立金の残額内の基礎年金分を充当する手もあるし。

 

要は無年金者をなくして、ともかく全員に月約3.2万位を払う。消費税が導入されて、もう何十年も経つ訳ですし。受給資格はあるでしょ。基礎年金支給資格者はそれに加算すればよい。

 

たしかに、月3.2万じゃ少なすぎるかもしれない。ただ、そうだとすれば消費税を上げるしかない。こういう構造をハッキリさせることこそが、社会保障の<見える化>だと思うのですが。

 

見える化>って、民間系では数年前のキーワードだった気がしますが、ニッポン国の制度とかシステムは、ホント、<見える化>から程遠いところにあると思えるのです。というか、どんどん<見えない化>が進行している気もしますね。

 

 

 

消費税が導入されて、もう何十年も経つ訳ですし。